半導体デバイス作製の流れ

1. デバイス構造を設計
ダイオード、トランジスタLEDやレーザーVCSEL、太陽電池などなど。


2. 基板の購入(左図)
様々な化学メーカーが半導体材料のインゴットを製造しています。まずは、インゴットから切り出した数百umの厚さの半導体基板を購入します。各種材料のインゴットの作りやすさで、基板のサイズや価格が決まります。インゴットから切り出す角度で、オフ角度やオフ方向が決まります。

3. エピタキシャル成長(右図)
デバイス構造に合うように、購入した半導体基板上に不純物(p型、n型)濃度と厚さを制御した膜を積んでいきます。超高真空下で結晶成長を行う分子線エピタキシ(MBE)法や、高圧ガスを利用した有機金属化学気層成長(MOCVD)法などがあります。
結晶品質や不純物の分布などがデバイス特性に大きく影響するため、結晶成長はかなり重要な研究の一つです。


4. レジスト塗布+UV露光(左図)
試料表面を化学洗浄した後、レジストを試料表面に塗布します。時に加熱します(プリベイク)。その後、フォトマスクを介してUV露光し、現像液に浸すと、UV光を当てた場所だけレジストが溶ける(ネガ)、もしくはレジストが残ります(ポジ)。ネガかポジになるかは、レジスト材料によります。

5.電極の蒸着(右図)
スパッタリングやEBを用いて、レジストを塗布した試料の上から金属を照射します。その後、レジストを溶かせば、不要な金属が剥がれます(リフトオフ)。時には、金属を合金化するため、気体中で加熱します。
4のリソグラフィのプロセスによって、数umの微細なデバイスパターンを作ることができるわけですが、数mmサイズのパターンの場合は、4のプロセスは行わず、金属マスクを通して金属を照射するだけでパターン化できます。


6. エッチング(左図)
プラズマなどによるドライエッチングや、薬品を用いたウェットエッチングにより、縦型構造のデバイスを作製したり、リーク電流を抑制(アイソレーション)したりします。

7.イオン注入(右図)
不純物イオンを注入すると、イオン注入した箇所のみ、n型やp型濃度を変えることができます。注入原子を結晶位置に取り込ませるため、高温下で活性化処理を行います。

8.誘電体の蒸着
高耐圧化やリーク電流低減などのため、SiO2やSiN、Al2O3を蒸着することがあります(表面パッシベーション)。

上記の4~8は順不同です。デバイス構造やマスクパターンによって、手順を最小限にできるようにします。デバイスができたら、測定するだけです!青色LEDが光ると、とてもキレイで楽しいですよ♪


ちなみに、簡易的な模式図はpower pointで十分ですが、論文などで曲線をキレイに描画するにはillustratorがお勧めです。フォトニック結晶などの3D描画には、フリーソフトsketchUPが便利です(上の図を参照)。