GaN HEMTの作製

【デバイス設計】
GaN HEMT構造の一例
TCADやBandengを使って、最適構造をシミュレーションする。求めた構造を企業に発注するか、実際に結晶成長を行う。計算する際の注意点は、実際に結晶成長が可能かどうかである。よく企業と話し合おう。
 (例1)AlGaNのAl組成と膜厚の関係。Al組成が大きいほど下地のGaNとの分極差が大きくなり、高濃度キャリアが発生するが、GaNとの格子定数差も大きくなるので格子緩和して高濃度の欠陥が発生する。対応として、AlGaNの代わりにInAlNを用いることがある。また、Al組成を大きくすると合金散乱による移動度の低下が大きくなるため、AlNを挟むことがある。
 (例2)理想通りの構造でも、下地のGaNを介した漏れ電流が発生する。GaNの結晶品質の高品質化、不純物濃度の低減(Cドープなどによる絶縁化)が不可欠。AlN緩衝層の影響が大きかったりする。

【作製手順】
HEMTのデバイスパターン
1. 試料洗浄:アセトンとIPAでok
2. オーミック(ソース-ドレイン)電極用リソ:ネガ
3. Descum:酸素プラズマ
4. 酸化膜除去:HClとHFで各1分洗浄
5. オーミック電極の蒸着:Ti/Al/Ni/Au(20/100/25/50nm)
6. リフトオフ:1165とかアセトンとか
7. RTA:窒素雰囲気800度30秒
8. メサ用リソ:ポジ
9. 塩素系プラズマエッチング(1nm/s)
10. ショットキー(ゲート)電極用リソ:ネガ
11. Descum
高周波測定用パターン
12. ショットキー電極の蒸着:Ni/Au(30/50nm)
13. リフトオフ

適宜、SiO2パッシベーションを行ったり、
ゲート電極の幅を狭くしたり、
ソース-ドレイン下に高濃度ドープしたり、
ソース-ゲート電極間長さを変えたり、
ゲート電極下にhigh-k材料を挿入したりして、
いろいろ改良してね♪

【デバイス評価】
Id-VdやIg-Vgを測定し、高周波特性や高耐圧特性を調べる。最初のデバイス設計時の計算との違いや、LTSPICEやmathematicaを使った計算結果と比較して、考察を行う。