半導体デバイスのプローバーによく使われる実体顕微鏡の倍率は50倍程度です。この倍率でどの程度見えるのか、計算してみます。
トランジスタのゲート幅は、細いほど高周波応答に優れます。光リソグラフィの最小線幅は1 umです。1 um幅のゲート電極は、50倍の倍率を通すことで、0.05 mmに結像されます。人の目に見える最小サイズが0.1 mm程度なので、実体顕微鏡では視認できず、少なくとも最大100倍以上の光学倍率のある顕微鏡を購入する必要があります。
センサーサイズが小さい方が、同じモニター上で大きな像が得られます。1/2インチ(6.4 mm x 4.8 mm)CMOSよりも、1インチ(12.8 mm x 9.6 mm)CMOSの方が倍大きく見えます。しかし、素子サイズが小さいと取り込まれる光量が下がるので、暗くなり、別の意味で見えなくなります。
印刷では、人が視認できる350 dpiが最適です。ピクセル数が1280x960(123万画素数)の顕微鏡カメラを使った場合、1280/350x25.4 mm (= 1 inch)=91 mm、960/350x25.4 mm (= 1 inch)=70 mmが表示可能サイズになります。ハガキの半分くらいのサイズだと綺麗に印刷されますが、前面に印刷するとすこしぼやけて見えるかもしれません。A4サイズ(297 mm x 210 mm)に最適な印刷をするには、4092 x 2893以上のピクセル数、つまり、1200万以上の画素数を持つ顕微鏡カメラを購入する必要があります。
問1)ピクセル数が1280x960で1/2インチCMOSを持つUSBカメラを、光学倍率50倍の顕微鏡の接眼レンズに取り付け、12インチ(265 mm x 149 mm)のモニターに映す場合、1 um幅のゲート電極はモニターに何mmで映るでしょうか?視認できるでしょうか?
問2)カートン光学社SPZ-50Dは、最大200倍(接眼レンズ40倍、対物レンズ5倍)です。レイマー社WRAYCAM-NOA2000は、ピクセル数5440x3648で1インチCMOSを持ちます。この二つを合わせると、1 um幅のゲート電極は12インチモニターに何mmで映るでしょうか?
【マイクロPL】
構成としては、レーザーまたはランプ、LED光源からの光を、試料にあてて、試料から出た蛍光を検出器で検出します。自分で構成する場合は、光を、光ファイバーを用いて試料近くまで持っていくのが良いです。光ファイバに入射するには、アライメントステージ+対物レンズが必要です。ここの対物レンズの性能はそこまで重要ではないです。ミクロンスケールで出射するためには、光ファイバーは、コア径が数umのシングルモードを用いる必要があります。光ファイバーの出射側には、平行光にするレンズ(コリメーション)を用いることで、光が広がらずに試料にあてることができます。更に光を集光するためには、その先に対物レンズを用意します。この対物レンズの性能は重要で、焦点距離、NA、倍率を考慮する必要があります。
【サーモグラフィ】
放射率が0.9で温度100℃の物体に、機器の設定を0.9とすれば、正しく100℃と表示されます。放射率が0.6で温度100℃の物体に、機器の設定を0.9とすると、~60℃と表示されてしまいます。高温の物体を測定する場合は、グラファイトであれば、そのまま測定できますが、透明試料の場合、裏面にMoなどの高温でも安定な材料を蒸着した方が良いです。
1ピクセルにつき、一つの温度情報が得られます。空間分解能は、1ピクセルが見ている角度を表し、焦点距離0.5 mで空間分解能2.3 mradの場合、1ピクセルのサイズは1.06 mmとなります。100 um x100 umのデバイス一つの温度を見る場合は、最小焦点距離0.1 mで空間分解能1 mradの性能が求められます。
【カメラ・ビデオ】
倍率を高めて暗くなる場合は、シャッター速度を遅くする(露出時間を長くする)か、f値を小さくするか、ISO感度を上げるのが効果的です。しかし、シャッター速度を遅くするかf値を小さくすると、ピントのずれが生じやすく、ISO感度を上げると、ノイズが大きくなります。
動画を取る際は、フレームレートの値が大きい程、滑らかな動画になります。人の目で見て滑らかなフレームレートは30 fps (60秒間に30フレーム)です。スロー動画を取りたい場合は、それより大きいものを選びましょう。一方で、装置の監視カメラなど常時動かし続けるものは、容量が大きくなりすぎるので、5 fps程度の小さいフレームレートのするのが一般的です。
【検出器】
量子数は、入射した光子数に対して発生した電子数の割合です。
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